体制維新――大阪都 (文春新書)

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masa-tjさん  未設定  読み終わった 

大阪府と大阪市の二重行政・二元行政を解消するために掲げた「大阪都構想」について、橋下徹氏自らがその構想の内容を語っている。
氏は政治と行政の役割分担を明確に著している。政治は勘と情、行政は理性と論理で行うものだと語り、政治家は方向性を示し、公務員はその選択肢を示すことが役割だとしている。この両者の役割の違いはよく解る。そして、政治と行政が両輪として機能することが地方自治にとって重要だとも思う。
一方で、大阪都構想のメリットばかりが列挙され、デメリットが全くないかのような論述になっている感は否めない。例えば、大阪都構想では「大阪市を解体し、8~9の特別自治区を作る」としているが、当然ながら区議会ができ、議員数は今よりも増えるだろう。また、「虐待を受けている児童の一時保護権を特別自治区に与える」と言うが、児童相談所の職員数が不足している現状を考えた場合、マンパワーの面において、果たして区単位で対応できるのか疑問に思う。氏は、将来的には大阪市の周辺自治体まで再編するビジョンを持っているが、「平成の大合併」において、市町村合併が日本で一番進まなかったほど自己主張の強い自治体・住民が、そう簡単に大阪都の一部になるとも思えない。
いずれにせよ、大阪都の実現には数多くの障害があることは間違いない。しかし、ロンドンやパリといった世界の大都市に打ち勝とうとする氏のビジョンや、平成23年度の大阪府知事選挙、大阪市長選挙の投票率が上がったように、有権者に関心を持たせる氏の発信力はすごいと思う。

レビュー投稿日
2012年6月9日
読了日
2012年6月6日
本棚登録日
2012年6月8日
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