亡命者が語る政治弾圧 中国を追われたウイグル人 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋 (2007年10月19日発売)
3.79
  • (7)
  • (13)
  • (12)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 88
レビュー : 13
4

中国におけるチベット人への迫害に比べて、国際社会の注目度が低く、特に日本においてはその存在さへあまり知られていない中国におけるウイグル人への迫害。

チベットへの迫害と同様の拷問・迫害に加えて、核実験の実験場となったり、911テロに乗じてまるでテロ組織のように扱われたりと、その苦難はチベット人と同等またはそれをしのぐほどと言っても過言ではありません。

本書は、著者が実際に迫害をうけたウイグル人に会い直接の取材を行ってまとめられた、中国におけるウイグル人迫害の実態を知る貴重な一冊です。

本書の冒頭「序にかえて」で著者は次のように語っています。
「(前略)彼らの「語り」は、傍証となる資料を探すことがほぼ不可能で、客観的検証が非常に難しい。執筆時は常に、証言者の「語り」が本当に信頼に足るものなのか、自分自身が記している内容が正しいのかどうか、自問し続けている状態だった。だが、たとえ亡命者たちの「語り」の中に「語りたくない部分」があったとしても、それでもなお彼らの語れる部分に耳を傾け、彼らと痛みを分かち、それらを活字に残しておきたいと思った。(後略)」

日本は自らの隣国で行われているこの事象を知らずにすませることはできないと思います。
知るべき事象のひとつの側面を鮮やかに照らしてくれるとても貴重な一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 23:民族・国家(外国)
レビュー投稿日 : 2010年5月22日
            読了日 : 2010年5月22日
      本棚登録日 : 2010年5月22日

みんなのレビューをみる

コメント 0件

ツイートする