戦争受刑者のうち、BC級戦犯として巣鴨プリズンで処刑された人たちの遺稿の調査や遺族等へのインタビューをまとめた貴重な一冊。受刑者たちはなぜ・どのような経緯で受刑者となったのか。それは本当に罪なのか。受刑者たちは巣鴨プリズンで何を考え、判決をどう受け止めたのか。刑の執行をどうとらえ、どう行動したのか。残された遺族は、何を思い、何を耐え生きてきたのか。そもそもあの裁判はなんだったのか。著者は本書を以下の言葉で閉じている。「占領下に処刑されて以来、人目をしのぶように祀られ、しかもいまなおA級戦犯の陰にかすみがちなBC級戦犯処刑者および名もなき処刑者にまつわる真偽は、埋もれたまま次第にその形骸を失いつつあるといってよい。これらを丹念に掘りおこし、その出土品のかけらをつなぎ合わせることによって、国と国との争いの中で押し潰され、ねじ伏せられていったものが何であったかを復元してゆくことは、あの時代を知るものの責務に思われる。」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
41:近代史
- 感想投稿日 : 2010年5月22日
- 読了日 : 2010年5月22日
- 本棚登録日 : 2010年5月22日
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