フェルメール 光の王国 (翼の王国books)

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本棚登録 : 646
レビュー : 84
著者 :
制作 : 小林廉宜 
まさみちさん 52:舞台・音楽・芸術   読み終わった 

生物学者が紡ぐフェルメールを巡る紀行文。

私が2010年に出逢った書籍「生物と無生物のあいだ」。それから8年。私にとって、フェルメールに関するはじめての本として手にとった本書の著者は、あの「生物と無生物のあいだ」の著者である生物学者 福岡伸一氏のものでした。

科学者と芸術家の類似性として良く言われるのが、「美しいものを追求する姿勢」ですが、本書にはまさにこれが表現されています。

少し長いですが、本書を象徴する表現が本書にありますので、少し長いですが掲載して感想にかえさせていただきます。

【本書抜粋 福岡伸一氏】
思えば、17世紀は、時間の一瞬を切り取りたいと人々が願い、それがかなった時代でもあった。世界は絶え間なく動き、移ろい続けている。それはガリレオやカッシーニが観察したとおりである。しかし、人間の目は、絶えず運動をし続ける対象をずっととらえ続けることはできない。何とかそれを一瞬、とどめることはできないか。物体の運用を一瞬とどめ、そこに至った時間と、そこから始まる時間を記述する方法はないか。まさにそのようにして数学における微分法は生まれた。ライプニッツやニュートンたちは運動の方程式を使って、動くものを一時、そこにとどめ、その物体が次にどの方向へどのような速度で動き出すかを予測する方法を編み出した。それが微分である。このことによって力学と運動が記述できるようになる。
フェルメールはまさに、ガリレオとカッシーニとともに生きた。フェルメールは、ライプニッツやニュートンと全く同じ願いをもっていた。そしてそれぞれ別々の方法で同じことを達成してみせたのだ。この世界にあって、そこに至る時間と、そこから始まる時間を、その瞬間にとどめること。フェルメールは絵画として微分法を発見したのである。科学と芸術はまったく不可分だった。
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レビュー投稿日
2019年1月5日
読了日
2019年1月5日
本棚登録日
2018年10月1日
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