沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

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本棚登録 : 5620
レビュー : 553
著者 :
masako27さん おもしろー本   読み終わった 

1〜5までのレビューを分けずにここに書かせていただきます。

政治と金と会社が密接に関わっている半官半民の国民航空(NAL)の1980年代ののお話です。

主人公は1〜5巻通して恩地元。
1、2巻はひたすらの正義感の強さから組合長を押し付けられ、そのおかげでアカ(共産主義者)のレッテルを貼られカラチ-テヘラン-ナイロビという僻地を規定違反でたらい廻しにされる様子とNALの腐敗と理不尽さを語っていく。

3巻はかの有名な日航機123便墜落事故を元にした話。
遺族の話がオムニバスの様に語られていく。
恩地は遺族担当係となり、遺族の心境を綴っていく。

4、5巻は墜落事故で失墜したNALの安全神話と信頼を回復すべく、総理指令で会長に任命された繊維業界の人的指導者といわれる国見が腐敗しきったNALを立て直すべく奔走する。
だがNALの腐敗は会社だけでなく、日本の政治にも密着した問題だった。


この話のすごい所は、フィクションとしながらも山崎豊子さんらしいものすごい量であろう取材から小説的に話をつくり出した所である。
なので、当時を知る人が読めば現実世界とのリンクをかなり感じるでしょう。なんとなく雰囲気が似ている名前をつけているので、政治に疎い人でもなんとなく誰がモデルか分かるでしょう。
ただ墜落事故の遺族や被害者は一部本人の了承を得て本名で出ています。
フィクションといえどもこれにかなり近い事実があったのであろうと思うとものすごく辛かった。
はっきり言って今まで読んだ小説の中で一番辛かった。
読んでる間中辛かった。
しかも5巻まであるので途中挫折しかけた。
でも面白い。読み始めると止まらない面白さがある。

「知らないという事が罪」という事はその事を知ってから気付くのだけど、この小説もそれを感じさせてくれた。
是非多くの人にこの小説を読んでもらいたいと思った。

御巣鷹山の事故はショッキングだし、一般的に興味をそそられやすい出来事だと思う。
ので3巻だけ読む人も多いらしいけど、私は全巻読む事をおすすめしたい。

この小説は映画化されたのだけどこの映画が公開される時、NALのモデルとなったであろうJALは「この映画を見ないで下さい」と社内にお触れを出したらしい。
こんな事をいうなんて「まだ会社の体質全然変わってませんよー」と言ってるようなもんじゃない。
内部がぐちゃぐちゃだ、というのはここ数年JALに勤めている人本人から聞いていけど、こんな会社じゃしょうがない。

遂に最近会社再生法を適用され、破綻した元ナショナルフラッグのJAL。大鉈を振られ少しは再生される事を祈ります。

レビュー投稿日
2010年11月25日
読了日
2010年11月25日
本棚登録日
2010年11月25日
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