東日本大震災の津波で流れていた写真を洗浄し元の持ち主に返す「思い出サルベージ」と、傷ついてしまい画像の大半が失われて何が映っているのか誰の写真なのか判別ができなくなってしまったような写真を捨てることなく集め、ギャラリーの壁面にタイルのように並べて展示をすると言う方法で、写真と言うメディアの持っている意義の本質を捕まえようとしたLost and Found projectを紹介する。
壁一面に張り出された写真を私も見たことがある。
おぼろげな人物の輪郭、断片的な建築や景色、顔だけが消えてしまった着飾った衣装の写真などが、まだらに消えかかったイメージとして、真っ白な光沢の残る印画紙の画面の上に残されている。
もはや具体的な像を結ぶ事はなくなっている写真においてさえも、ロラン・バルトの言う写真のノエマ「それは/かつて/あった」を静かに語りかけてくるものであった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
写真
- 感想投稿日 : 2018年3月14日
- 読了日 : 2018年3月14日
- 本棚登録日 : 2018年3月13日
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