冬の日誌

3.87
  • (13)
  • (20)
  • (9)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 271
レビュー : 25
制作 : Paul Auster  柴田 元幸 
たなか・まさん  未設定  読み終わった 

ポール・オースターの、事実を基にしたフィクションかなと思ったら、「回想録」ということらしい。

淡々と書かれているのだが、子供時代〜思春期の、つらい思い出についても隠すことなく書かれている。作家というのは本当に大変な仕事だ。

しかしだいたいの作家は子供の頃、犬の過酷な死に立ち会っているものなのか、犬が天寿を全うする以外で死んでしまう記述が必ず出てきて、その部分を読むのはいつもとてもつらい。

母親の死の記述については、死そのものよりも、若き日の美しい姿からどんどん変わっていく様子がいたたまれない。
そのいたたまれなさは、自分の母親、自分の肉親、そして自分自身にも当てはまることに由来する、ということがとても悲しい。

俳優との朗読会で言われた言葉、
「ポール、ひとつ君に言いたいことがある、五十七のとき、私は自分が老いている気がしていた。七十四になったいま、あのころよりずっと若い気がするよ」
は、大いなる救いであった。

その他、美しくて共感できる娼婦との出会い、自動車事故で家族共々死にかかったことなど、波乱に富んだ出来事が次々と描かれている。

レビュー投稿日
2018年2月11日
読了日
2018年1月23日
本棚登録日
2018年1月8日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『冬の日誌』のレビューをもっとみる

『冬の日誌』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする