ある夜、博多駅近くのバーで本を読んでいると、隣の、韓国訛りのある女性――あとで聞けば社長夫人ということだったが――に話しかけられた。ワタシはそれを原文で読んだことがある。とてもflankな英語だから、アナタもぜひ原文で読むとイイ、と。
それがJ.D.Salinger "THE CATCHER IN THE RYE"である。ホールデン16歳の、高校を追い出されたあとの三日間。やりきれないことばかりのニューヨークで、それでも絶望せずに――for God's sake!! ――生きていくことを決意する。
感想はたくさんあるけれど、一つ挙げるとすれば、その見事なモチーフの使い方だ。赤い安っぽいハンチング・キャップや、亡弟のAllieの野球のミット(詩が書かれている)、貧しい二人の修道女――。それぞれが重くfactorを握り、心象を強く残していく。
名も知らぬ夫人に謝辞を。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
洋書
- 感想投稿日 : 2011年9月21日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年9月21日
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