著者の祖先であるヴェネツィアの旧家の子息アンドレア・メンモとヴェネツィア人とイギリス人の庶出の娘ジュスティニアーナ・ウィンの18世紀に交された現存している書簡の引用しつつ、歴史的背景を浮かび上がらせながらふたりの人生の軌跡を綴ったノンフィクション。
アンドレア・メンモはヴェネツィアの名門貴族の家に生まれ、元首に継ぐサン・マルコ財務官まで上り詰めている。
本書の後半部分は、ジュスティニアーナの手紙しか残っていないため、メンモの人生のディテールは語られないが、若い頃から、自分の家柄と生き方に自覚を持っていた人物だった。
彼が、青年時代、ジュスティニアーナという美しい娘と出会い、恋に落ちるが、身分の差があり結ばれない。
ふたりは、文字をふたりの考え出した秘密の符牒で表し、それを使って書簡の行き来をさせた。
ふたりの気持ちは、結婚が絶望的だとわかってからも通じ合っていたが、やがて友情にかわっていく。
ふたりの共通の知り合いに彼のカサノヴァも含まれており、ジュスティニアーナが、修道院でこっそりと子供を生む手助けなどをしている。
ふたりが生きた時代を経て間もなくヴェネツィア共和国は終焉を向かえた。
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- 感想投稿日 : 2005年6月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2005年6月2日
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