ヘヴンリープレイス (ノベルズ・エクスプレス)

著者 :
  • ポプラ社 (2010年7月2日発売)
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本棚登録 : 99
感想 : 15
4

ピアノが好きな和希(6年生):引っ越ししてきた同級生をいじめてしまったことが心にひっかかり続けている。本当は中学受験がいや。親の信頼を壊したくないと思っている。

エイタ(4年生):発達が遅い。体が小さい。天使のような子。父親からの暴力を受け自分をバカだと思っている。大人の男性におびえる。

フミオ(6年生):両親がおらず施設にいたがそこを飛び出し廃屋で寝泊まりする。エイタを弟のように思っている。

ユカ(中一):絵を描くのが好きだが、姉のほうが優れていて自分はだめだと思っている。不登校である。

老師(藤川さん):ホームレスの男性、子どもたちの保護者的立場にある

ミホ:ピアノレッスンにきている子。和希が好きで心配している。

親が子どもにする心配→今はとにかく頑張って勉強してほしい。理想的な友達づきあいをしてほしい。
親の思いは子どもたちに伝わりプレッシャーになっている。

子どもたち→両親の言動に対し思っていることは沢山あるが、期待を裏切らないでいたい。説明してもわかってもらえないだろうという思いから「良い子」の返事を続ける。

両方の思いが歩み寄れずに距離を置き続ける様子が苦しい。
それでも子どもたちは悩みを抱える子たちとの出会いで少しずつ変わってゆく。心的成長。

和希は四人の悩める子たちと出会い、本当に自分がしたいことは何か、言葉に出して親に伝えることができるようになる。
すべての登場人物がスッキリとした解決を迎えるわけではないのだけれど、
それぞれがそれぞれの道を歩んで行ける光のようなものを感じた。
老師の存在も大きい。
「いい人かどうかということとね、お金持ちか貧乏かということは、まったく別なんだよ」
行き場のない子どもたちは多いけど、何かひとりぼっちじゃないって思える本だと思う。
話を聞いてくれる、わかってくれる人が周りにいない人も、こういう本に出会ってほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ヤングアダルト
感想投稿日 : 2013年5月8日
読了日 : 2011年11月25日
本棚登録日 : 2013年5月8日

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