マシアス・ギリの失脚 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1996年6月1日発売)
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本棚登録 : 823
感想 : 64
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現実とはかくも幻想的である。

登場する主要な登場人物一人一人に「血肉」が通っていて、まるでノンフィクションの物語を読んでいるようなリアリティーを感じる一面で、バスが消えたり、死者と話したりと幻想的な一面も見せる。

一見相反する出来事がごっちゃになっているようで、そのイベント一つ一つが混然一体となってこの小説の「世界観」を互いに支えあっている。

この小説は一つの世界を構築している。それは手に取ることのできない空想の世界ではあるが、この小説を読まれた方ならその「空気」を感じることができるはず。

優れた真の小説家は世界を創り出す。池澤夏樹氏もそのうちの一人だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内文学
感想投稿日 : 2012年5月12日
読了日 : 2012年5月12日
本棚登録日 : 2012年5月12日

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