現実とはかくも幻想的である。
登場する主要な登場人物一人一人に「血肉」が通っていて、まるでノンフィクションの物語を読んでいるようなリアリティーを感じる一面で、バスが消えたり、死者と話したりと幻想的な一面も見せる。
一見相反する出来事がごっちゃになっているようで、そのイベント一つ一つが混然一体となってこの小説の「世界観」を互いに支えあっている。
この小説は一つの世界を構築している。それは手に取ることのできない空想の世界ではあるが、この小説を読まれた方ならその「空気」を感じることができるはず。
優れた真の小説家は世界を創り出す。池澤夏樹氏もそのうちの一人だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国内文学
- 感想投稿日 : 2012年5月12日
- 読了日 : 2012年5月12日
- 本棚登録日 : 2012年5月12日
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