香華 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1965年4月1日発売)
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本棚登録 : 304
感想 : 35
3

自分の美しさを傲慢にひけらかし、自分の美貌にしか興味の
ない母親郁子のもとに産まれた朋子の幼少から老年までの物語。

母親らしいことは何一つしてもらえず、母親は自分が困ると
娘を頼りにし、困ってない時は娘を顧みない。

朋子は祖母に育てられ、母親の再婚家庭に引き取られたかと
思えば、すぐに芸者に売られ、更に同じ妓楼に遊女として
母親まで売られてくるという壮絶な日々を送る。

しっかりもので自分の将来をみすえ芸者から一流料亭の女将へと
出世していく朋子とだらしなく傲慢で自分の事しか考えてない
郁子のやり取りに苛立ちを覚え、大変疲弊する読書だった。

更には郁子の2回目の再婚相手との子供安子まで、
母親そっくりの美貌でそれでいて気は効かなく困った時だけ
姉を頼りにするので読んでいて朋子のお人よしに苛々した。

ただ最後の結末は人生の妙を感じるような、今までの母娘の
確執がすっとぬぐいさられるような終わり方でとても良かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 購入 文庫 
感想投稿日 : 2012年5月19日
読了日 : 2012年5月19日
本棚登録日 : 2012年5月14日

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