例えばその人が職場の同僚だとしたら、同僚としてそれなりに接しつつも何となく遠巻きに見てしまうだろう。結果その人は仲間はずれとまではいかなくとも何となく浮いた存在となる。この短編集に登場するのはそんな人物ばかりだ。
そして読み進めるうちに気づく。ああ、この人は自分なのだと。誰の中にも多かれ少なかれ「イタさ」はある。そのイタさに気づいていないから孤独なのか。気づいてしまったから孤独なのか。
孤独を描いてはいるが、主人公たちは寂しさを訴えてきたりはしない。著者が描いているのは「わたしの孤独」ではなく「わたしたちの孤独」なのだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
外国の文学
- 感想投稿日 : 2013年9月21日
- 読了日 : 2010年12月13日
- 本棚登録日 : 2010年8月31日
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