橋本治って桃尻語訳の人というイメージだけで、書かれたものをちゃんと読んだことがなかった。本書を読むと、思考が止まらない人だったのかなという印象を抱いた。生き急いでいる感じがして、ちょっと苦しかった。

冒頭では男はとか女はとかやたら言っているのが気になってジェンダーかセクシュアリティが揺らいでいる人なのかなと思ったら、まさにそういうエピソードが語られたのでやっぱりそうかという感じでした。なんかごちゃごちゃうるせえよって思ってしまったのは、自分もごちゃごちゃ考えてしまっていた過去(あるいは現在も)があるから。

ただ、講演を起こしたもので話し言葉で書かれていたので、聴いて理解するのが苦手なわたしには話があんまり入ってこないところもあリました。

マイノリティは否応なく、こんなふうに思考を繰らないとやっていけないんだよなと思うと同時に、わたしも思春期に橋本治に出会っていれば、自分のセクシュアリティにもっと自覚的になれたのかもしれないと思いました。

2020年12月29日

読書状況 読み終わった [2020年12月14日]

心の機微。子どもにだって心の機微はある。
わたしにはないけど。大人なのに…

2020年10月22日

読書状況 読み終わった [2020年9月12日]
カテゴリ 絵本

タイトルに「女帝」という言葉を使うことにより、本書が批判するところの小池百合子をいまの地位にまつりあげてしまったメディアと同じ土俵に乗ってしまっているのではないか。

著者は小池百合子の「物語」を提示し、そこに否定的な視線を向ける。綿密な取材に基づき本人の発言等から構築したとはいえ、その物語はあくまでも著者によって語られる小池百合子の物語だ。
本書の読書中、他者の物語を勝手に構築し、勝手に否定することへの嫌悪を強く感じた。

「何をしてでも有名になれという父、手に職を持ち、ひとりで生き抜いていかなくてはいけないと語った母。女の子なのにかわいそうと憐むように、蔑むように向けられた視線。
彼女は宿命に抗った。そのためには「物語」が必要だったのだろう」(p.426 )と著者は締めくくる。

わたしは政治家としての小池百合子をこれまでも、おそらくこれからも支持しないが、本書で提示された物語にはむしろ応援する気持ちが湧いた。
私は私の物語で生きて何が悪い、他人が勝手な物語付与してんじゃねえよという気持ちになった。

2020年6月24日

読書状況 読み終わった [2020年6月24日]

わたしは、これからの社会では婚姻と生殖は別に考えたほうがいいんじゃないかと考えていて、そうなるとこの作品で描かれているディストピアがわたしにとってはある種ユートピアのように思えるのでした。

多数派と少数派がぐるっと入れ替わるとそれはそれで怖いことになるので、結局社会の正しい維持の仕方としては、お互いにうまい塩梅で綱引きし続けることなのかなと思いました。

2020年12月29日

読書状況 読み終わった [2020年8月17日]
カテゴリ 外国の文学

構成作家の古川耕さんが紹介されていたのに興味を持って手にしました。

聴覚や嗅覚、触覚や味覚などの感覚で色を感じる絵本。
絵はUVインキを立体的に盛り上げて印刷をしているということで、手で触れて感じることができます。

すべての子ども、そして大人にも手に取ってほしい美しい絵本です。

2020年3月17日

読書状況 読み終わった [2020年3月17日]
カテゴリ 絵本

動物哲学の第一人者である著者が、哲学者や文学者たちの言葉を引きながら、人間と猫との関わりについて考察していく。

一定の距離を取りながら冷静な分析が行われてはいるが、なんだかんだいって著者もやっぱり猫が好きなんだろうなと感じた。

ボードレールの猫に関する詩がいくつかあり、その中の「猫たち」という詩については、言語学者のヤコブソンと人類学者のレヴィ=ストロースが詩言語と神話の構造分析を行っているということなので、併せて触れてみたい。

2020年2月23日

読書状況 読み終わった [2020年2月16日]
カテゴリ 脳・心・哲学
タグ

フラバルの話とチェコビールの話、ときどきクンデラの話。

2019年7月28日

読書状況 読み終わった [2019年7月28日]

sadness についての絵本。悲しみとのつきあい方が描かれる。感情に名前をつけてあげるの大事。

If you don’t understand each other, just sit together and be quiet for a while.

2019年4月23日

読書状況 読み終わった [2019年4月23日]
カテゴリ 絵本

OR: Kom uit die Kraan! by Tjibbe Veldkamp, Ill by Alice Hoogstad, c2015

2019年3月7日

読書状況 読み終わった [2019年3月7日]
カテゴリ 絵本

収録作の「太陽の側の島」がすごい。往復書簡というスタイルで、こんなに不思議な世界に連れて行ってもらえるとは。

内容・初出
オブジェクタム 「小説トリッパー」2018年春号
太陽の側の島 「婦人公論」2016年4月12号
L. H. O. O. Q 「文學界」2016年8月号

2019年2月11日

読書状況 読み終わった [2019年2月11日]
カテゴリ 日本の文学

YAらしいYA。
毎日、異なる身体で目覚めるという設定は思考実験としておもしろい。現実にそんな境遇だと自我の確立が難しいのではないかという気はするが。

2019年1月20日

読書状況 読み終わった [2019年1月12日]
カテゴリ 外国の文学

OR: More would you rather by John Birmingham, c2018

2019年1月9日

読書状況 読み終わった [2019年1月9日]
カテゴリ 絵本

OR: The Dead Bird by Margaret Wise Brown, 1938
Ill by Christian Robinson, c2016

2019年1月9日

読書状況 読み終わった [2019年1月9日]
カテゴリ 絵本

小説と臨床心理士という職業は相性が悪いように思う。小説が人の心の深淵に迫ろうとするのに、臨床心理士という職業がその専門知による解釈の枠に留めようとしてしまう。
臨床心理士がこの程度関わったくらいで何かがわかるとは思えない。

2018年11月10日

読書状況 読み終わった [2018年11月9日]
カテゴリ 日本の文学

ジュノ・ディアスによる絵本。
和訳書: わたしの島をさがして 都甲幸治訳 汐文社

2018年10月8日

読書状況 読み終わった [2018年10月8日]
カテゴリ 絵本

Simon thinks he’s a cat.
But Lion, Cheetah, Puma, Panther, and Tiger disagree.
Can Simon convince the big cats that they are all more alike than they seem?

2018年10月8日

読書状況 読み終わった [2018年10月8日]
カテゴリ 絵本

huddling and waddling and cuddling にうんざりしてしまったペンギンのDudleyのおはなし。
Hugの作者による絵本。

2018年10月8日

読書状況 読み終わった [2018年10月8日]
カテゴリ 絵本

“When the enemy bombed the library, everything burned. ” という一文で始まる戦争と一冊の本を巡る物語。

2018年10月2日

読書状況 読み終わった [2018年10月2日]
カテゴリ 絵本

お父さんと釣りに出かける。そこで聞かされる父の話。

Caldecott honor book 2018

2018年10月2日

読書状況 読み終わった [2018年10月2日]
カテゴリ 絵本

白ネコさんのところに黒の子猫がやってきて。
シンプルな絵と言葉で猫たちの生活を描く。命はめぐるというところまで描ききり、深い余韻を残す絵本。

Caldecott honor book 2018

2018年10月2日

読書状況 読み終わった [2018年9月25日]
カテゴリ 絵本

「本当の旅」「奥さん、犬は大丈夫だよね?」「でぶのハッピーバースデー」の3編からなる短編集。

「本当の旅」の
「ヤマコが結婚しないのは、彼女の個性を受け止められる男が近くにいないだけのことだ。でも、そもそも僕らにとって結婚とかって全然マストじゃないのだ。結婚よりも大事なこと。結婚よりも繋がり、を、絶えずゆるやかに感じられているおかげで、僕らのコミュニティでは誰も、結婚、出産を始めとする社会の制度を善として語らない。だから自由で心地よいヴァイブレーションをいつでも発散している。」p.11
というようなカタカナ語の入れ込み方が秀逸。登場人物3人が若者ではなくて中年だとわかってなおさらゾッとする。

本谷有希子は次のフェーズに移った感がある。

2018年9月23日

読書状況 読み終わった [2018年9月22日]
カテゴリ 日本の文学

文学フリマでジャケ買いした歌集。
冒頭にタイトルの由来の一つがラマチャンドランの鏡箱であると説明があって、絶対好みに合うと確信した。

2018年9月22日

読書状況 読み終わった [2018年9月2日]
カテゴリ 詩・歌・画

不感症という言い方しかなかった時代のノンセクシュアルの話かと思いながら読んでいたら、父親からの性的虐待が匂わされていて、そっちかいとなった。

セックスに関しての考え方、感じ方が違えばその二人はもうどうしようもない。初夜でわかってよかったよ。本作の夫婦に関して言えば、妻の提案を夫が受け入れれば、二人で生きていく道もあったけれど。

行為中の二人の心理の違いの描かれ方はスリリングだった。

夫は後年、あの夜の失敗がなく、娘がいたかもしれない人生を夢想していたけれど、それはどう転んでもありえなかったということが理解できないのだと不憫になった。
マキューアンって、こういう意地悪い感じでしたっけ。

2018年8月30日

読書状況 読み終わった [2018年8月25日]
カテゴリ 外国の文学

怖いのは誰かに本を燃やされることではない。知らず知らずのうちに自ら燃やしてしまっていることだ。
本書で描かれる世界では、「本」を知る人がまだ残っているが、「本」を知る人が残っていない世界はどんな世界となるのか。

現状に疑問を抱くことは重要だが、その先で同士に出会うことで陥る新たな思考停止もまた怖ろしい。

2018年10月8日

読書状況 読み終わった [2018年10月8日]
カテゴリ 外国の文学
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