人質の朗読会 (中公文庫)

3.50
  • (2)
  • (4)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 61
レビュー : 4
著者 :
matsukawaさん 現代小説   読み終わった 

異国で拉致され、人質として監禁された8人が、監禁されていた時間をしのぐためにそれぞれの物語を朗読する。

それぞれの朗読で紡がれる物語は、さほどドラマチックなものではない。けれど、シンプルに綴られたその物語の終わりに、語り手の職業と年齢が書き添えられているのを読むと、急に一人の人間が見えてくる。彼・彼女が歩んだであろう道のりが想像できる。
そうして想像できたその人間は、つまり人質なのだ。

短編集の始まりには、人質事件の全貌が語られている。人質たちが全員死亡したことも書かれている。
人生を断ち切られた人々の、「断ち切られる前」を想像させる。描いているのではなく、あくまで読者に想像させる。
小川氏のその手腕が、切なさを生んでいる。

登場人物たちが不幸であることと、けれど不幸なばかりではなかったこととを同時に伝えてくれるような、そんな短編集。

レビュー投稿日
2014年8月28日
読了日
2014年8月28日
本棚登録日
2014年8月28日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『人質の朗読会 (中公文庫)』のレビューをもっとみる

『人質の朗読会 (中公文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする