I'm sorry, mama. (集英社文庫)

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本棚登録 : 1375
レビュー : 172
著者 :
mattopernattoさん 桐野夏生   読み終わった 

超ド級の不幸な女の「ママ探し」の人生。娼館に生まれて親を知らずに育ち、養護院を出てからは自分の身体一つで浮き草のようにフラフラと生きる先で、憎しみの矛先を周囲の人間に向けていく。トンズラした先ではまた盗みと人殺し。でも、別に人殺しの物語ではない。
とばっちりを受けるのは彼女と交差した人たち。でも、交差した後はアイ子の過去は、いつだって真っさら。足がつきそうになったら足跡を消して歩いてるだけで、人は消すのが一番手っ取り早い。
考えないで、欲望のままに行動する。動物的な第6感だけはふつう以上に発達してる。
アイ子にとっては、とくにそれが刹那的な生き方っていうわけでもなく、意識的に自堕落っていうわけでもなく、そうやってなんとなく生き延びてきた人生。こんな感じの女なので、笑っちゃうくらい悲壮感がない。

アイ子は悪意で破裂しそうなくらいだけど、女がしぶとく生きる道は、大股開きで何でも来やがれ、と周囲をにらみ返していくことなんだろう。まあ、もちろん現実の世界ではこう簡単にはいかないけれど、それしかなかったら私だってそうするかもしれない。いや、しないかもしれない。
悪のヒロイン、アイ子に対する嫌悪感と女としてすぅっとする感じ。戦う女を描かせたら超一級の桐野夏生らしい物語。

レビュー投稿日
2012年10月25日
読了日
2010年7月2日
本棚登録日
2012年10月25日
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