奇書。
登場人物は誰もがどこか、自分たちが歩んできた人生といま現在の状態に違和感を感じているようだ。
或いは、特段の変化なき日常において訪れる、奇妙な体験。
この物語はデジャヴュと白昼夢の連続である。
または、逢魔ヶ時というべきか。
こうした奇妙な体験は健康な人でもしばしば生じる。
奇妙ではあるけれど、これらはてんかん発作までには至らないが、疲労やストレスのほかに感覚器官から受容された刺激と知覚・記憶・経験がうまく融合できなかったために生じる脳波異常であることを現代の我々は知っている。
それでも、奇妙さや不思議な体験である。
この物語はそうした奇妙さを読み手に残す。
物語として面白いかと問われるとわからない。
それでも、白昼夢を体感することができる奇書として、興味深い体験だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年5月24日
- 読了日 : 2020年6月2日
- 本棚登録日 : 2020年5月20日
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