宵山万華鏡 (集英社文庫)

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レビュー : 534
著者 :
maverick066さん  未設定  いま読んでる 

祭りという白昼夢の体験。

日本の祭りは変死意識状態へ誘う作用があるように思える。

日常空間である路地が祭り、或いは縁日と呼ばれる時、通りに屋台が並び、食べ物の匂いが立ち込め、囃子が聞こえ、普段の焦燥感に満ちた人たちは消え、雑踏はゆったりと金魚のように回遊する。

日常の世界がいつもと違って見える体験は、通常の知覚とは異なる知覚を生成するという意味において変性意識状態であり、或いはこれを白昼夢とも呼べるかもしれない。

この物語体験は、祭りにおいて体験する不思議な体験をなぞることができる。

しかしなぜ、日本の地域が祭りに関心を示さなくなったのかを考えると、単純に人がいなくなったから、ダサいからという理由だけではないだろう。

あまりにも普段の日常から現実感が損なわれたからではないかと思う事もある。

この物語で稀薄な現実感からさらに現実感を喪失させる体験ができた。

これは活字の読書でなければ味わえない体験だったと思う。

レビュー投稿日
2019年10月29日
本棚登録日
2019年10月28日
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