今年最後の読了が名作となりました。
戦争文学としてあまりにも名高い作品ですが、キャサリンと子どもの死は、戦時下のなんらかの影響によるものとしては描かれていません。むしろ戦争があってもなくても起こり得た悲劇です。ですので、本作に表れているのは「戦争の不条理」ではなく、戦争も流産も含む「人生の不条理」だと思います。reasonableな事柄などこの世にないということが、戦いのない時代よりも突きつけられてしまう状況を描くのがヘミングウェイの戦争文学なのかな、と思いました。
なお、ヘミングウェイを読むのはFor Whom the Bell Tollsに続いて2作目ですが、愛の描き方がとても興味深いです。「あなたは私であり、私はあなたであること」。2人がひとつになるというよりも、2人が完全にイコールになるというイメージで、今まで読んだ小説にはあまりなかった気がします。2人はイコールなのに、死は一緒に訪れない。その愛の儚さと戦争とが、どこか暗い影を落とし続ける、とても悲しい小説でした。
英語はFor Whom the Bell Tollsより読みやすかったです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年12月31日
- 読了日 : 2012年12月31日
- 本棚登録日 : 2012年8月29日
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