数冊、拾い読みをしつつ文体を比べてみて、岩波文庫、遠藤寿子さんの訳が一番好きでした。天真爛漫、意思がハッキリしていて独立心がつよく、手紙の文章は作家然として気どっていて、チャーミングで愛らしいジューディのキャラクターがよくあらわれています。
▼以下は気に入った一節の引用です。
おじさん、あたしはだれにも一番必要な特性は想像力(イマジネーション)だと思いますの。これがあると、あたしたちは他人の身になり代わってみることができます、そして親切な、同情心の深い、理解のある人になれます。(p.140)
男を同意させるには二つしか方法がないわ。ごきげんをとって納得させるか、それともこちらがふくれて見せるか二つに一つよ。あたしは自分の望みをとおしたいからって、男の人のごきげんを取るのはまっぴらです。ですから、どうせあたしはふくれていますわ。(p.184)
あたしが将来なりたいと心がけている非常に正直な、教養のある、良心的な、聡明な国民に、選挙権を与えないなんて、この国は随分むだな国だと思いますわ。(p.188)
ただ一つあたしがご恩返しのできることは、あたしが非常に有用な公民に(女は公民でしょうか?あたしそうは思えませんの)なってお目にかけることです。とにかく、非常に有用な人物になることです。(p.220)
あたしは、よしんば大作家になれなくても、人生の路傍にすわって、小さな幸福を沢山積み上げることにきめました。(p.200)
あたし、「ジャーヴィー坊っちゃん」に、あたしをさしずしてあの方の思いどおりに引きまわすわけには行かないってことを、ぜひ見せてやります。あたしにさしずすることのできるものは、あなたのほかにだれもないのよ、おじさんーーそれも、いつだってできると限ったわけじゃありませんわ!(p.224)
若さは、誕生日とちっとも関係がありません。ただ精神がいきいきしているか否かに関係します。ですから、おじさん、たといあなたの頭髪が白くとも、あなたはまだ子供になることができますよ。(p.241)
- 感想投稿日 : 2020年8月23日
- 読了日 : 2020年8月23日
- 本棚登録日 : 2020年8月23日
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