モンスター (幻冬舎文庫)

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本棚登録 : 11042
レビュー : 1429
著者 :
Megさん  未設定  読み終わった 

494ページあったらしいのですがほぼランチと通勤時間、2時間半で読み終わってしまいました。
この著者は放送作家だったからか、情景をえがくのが本当に上手ですね。瀬戸内海に面した田舎の街に急にあらわれた美女。その美女の視点で、過去が明らかになっていく...というミステリアスかつドラマチックなストーリーが良かったです。

ここからはちょっとネタバレな感想。
人によって感じるところはさまざまだろうけど、主人公に悲壮感がないのが良かった。この著者、わかってんなと思った。醜いからこそのどん底の不幸を味わって、でも生きていくしかなくて、何も頼れるものもないなかただ生きて、ついに美を手に入れる方法を知って...という流れがとても普通で、わたしは完全に感情移入ができてしまい、やれ!やれ!と思ってしまいました。(きっと、もうやめて!と思う人もいるだろう)

たぶん、この本の主人公ほどではない...(ということにしといて...)ので大してひどい目にあったことはないけど、残念な見た目のせいで、普通の人より周りの人間の色々なところが見えてしまうということは往々にしてあります。
男は知らないけど、女は会った瞬間に無意識に順位をつけているのだ。そうでないという女は自分が上であるというよほどの自信をもった人か、よほどの幸せ者(頭に花が咲いているという意味で)である、というのが私の持論。
だからいま、マウンティングなんていうものがテーマの深夜ドラマが流行っているのだと思います。

その順位付けで自分がランク外なんだ、誰にも愛されないんだと常に認識させられることの辛さ。誰にも頼れず、抜け出せず、自分の思考の渦だけにはまっていく怖さ。この不幸はあまりわかる人はいないだろう。この著者はかなりうまくこういった女性の心理状態を描いているとおもう。

もっと違う不幸にあって悲しんだり悩んでいる人はいっぱいいる。その方たちは本当に可哀想だとおもうけど、悲しみを表に出せて「隣の人は本当はもっと不幸かもしれない」なんて発想は持たずに悲しめるなんて、なんて幸せなことよと思ってしまうこともある。
この本の主人公のような不幸は小説だからわかるのであって、表立って悲しむことができない不幸。誰にもわかってもらえない不幸。
だから全てを壊して作りかえた主人公には喝采を与えたくなったし、過程がとても面白かった。
少し物足りなかったのは、元の自分を愛してもらいたいという最後の部分が少し陳腐に思えたのと、ラストのオチはもうちょっと残酷でもいいのになというところと、主人公の妄想シーンが多くて時々どれが事実かが著者の演出以上にわからなくなりがちだったところかな。

うーん、相変わらず感想文が性格悪いんですけど、ほら、この本の主人公みたいなもんだと思ってください。整形前の。
この本を読んでどう感じるか?いろんな人に聞いてみたいなぁ。

レビュー投稿日
2017年5月11日
読了日
2014年6月11日
本棚登録日
2017年5月11日
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