評判がとてもいいので読んでみた。でも、ちょっと苦手だったかも。語り手である「ぼく」の声が最後までどうしても「ぼく」の声として聞こえてこなかった。よくできたあらすじをひたすら読み続けてるみたいな気がした。ストーリーも、題材も、ひとつひとつのエピソードも、込められたメッセージも、とても秀逸なのはわかるのに、とにかくはまれない。その理由は、外国を舞台にした小説が日本人によって書かれているから、では断じてない。文章がかっこよすぎたのかな(あえてそうしているのはわかるけど)。同じ年頃の同じようにクールな男の子を主人公にした山田詠美『ぼくは勉強ができない』の場合、彼の声は最初から最後まではっきりと聞こえてきた。何が違うのだろう。ただ、私にとって、この物語が与えてくれた希望は、いつ天災や戦争が起こるかわからない現代の日本で、もしかしたら「息子」たちはこの「ぼく」と仲間たちのようにときにかっこよく、ときにかっこわるく、生き延びてくれるかもしれない、そう思えたこと。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年3月4日
- 読了日 : 2018年3月3日
- 本棚登録日 : 2018年3月4日
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