スウィングしなけりゃ意味がない

著者 :
  • KADOKAWA (2017年3月2日発売)
3.80
  • (38)
  • (45)
  • (28)
  • (10)
  • (5)
本棚登録 : 485
感想 : 69

評判がとてもいいので読んでみた。でも、ちょっと苦手だったかも。語り手である「ぼく」の声が最後までどうしても「ぼく」の声として聞こえてこなかった。よくできたあらすじをひたすら読み続けてるみたいな気がした。ストーリーも、題材も、ひとつひとつのエピソードも、込められたメッセージも、とても秀逸なのはわかるのに、とにかくはまれない。その理由は、外国を舞台にした小説が日本人によって書かれているから、では断じてない。文章がかっこよすぎたのかな(あえてそうしているのはわかるけど)。同じ年頃の同じようにクールな男の子を主人公にした山田詠美『ぼくは勉強ができない』の場合、彼の声は最初から最後まではっきりと聞こえてきた。何が違うのだろう。ただ、私にとって、この物語が与えてくれた希望は、いつ天災や戦争が起こるかわからない現代の日本で、もしかしたら「息子」たちはこの「ぼく」と仲間たちのようにときにかっこよく、ときにかっこわるく、生き延びてくれるかもしれない、そう思えたこと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年3月4日
読了日 : 2018年3月3日
本棚登録日 : 2018年3月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする