TBSで発見された未公開テープ(英国人翻訳者によるインタビュー)と随筆『太陽と鉄』の二本立て。インタビューはヴァージニア・ウルフ、川端、荷風あたりと比較しつつ自分の小説について語ったり、現代(というか当時)の漢文教育を批判したり、非常に興味深い内容なうえ、最後の最後に「美とは何か」について端的に語られていて唸った。『太陽と鉄』はわたしには難解だったけど、ああするしかなかったんだ、ああすることで思いを遂げたんだ、ということがうっすらではあるが理解できたかな。最後のほうで精神と肉体を一つにする究極の体験を求めて、三島は音速飛行を体験するんだけど、そのあたりの描写に宿る美と狂気のせめぎあいは読んでいて息が苦しくなるほどだった。『英霊の声』では、狂ってる人が大真面目に完璧に美しい文章を操ることの空恐ろしさを強く感じたけど、この『太陽と鉄』からは切実さ、やむにやまれなさがひしひしと伝わってきた。『奔馬』や『剣』のラストとか、ギリシャ神話のイカロスの悲劇(じっさい、この随筆は『イカロス』と題した詩で結ばれている)が脳裏に浮かんでは消え。
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- 感想投稿日 : 2017年10月24日
- 読了日 : 2017年10月24日
- 本棚登録日 : 2017年10月24日
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