私にとってマラマッドと言えば、大学1年の語学の授業で読んだ「マジックバレル」。果てしなく広がって見えた自分の未来に不吉な呪いをかけられたような、それでいて仲間を見つけてちょっとほっとしたような、強烈な感覚を今も覚えている。その後、短編集も読んだかもしれないが微塵も覚えていないし、ナチュラルとかも読んでない。なのに好きな作家のひとりだったかのような錯覚に陥りがちな謎の存在感、それがマラマッド。今回、ユダヤ人と黒人の作家のバトル、みたいなあらすじにひかれて、新しく訳されたこれを読んでみたが、ちょっと凄いグルーヴを感じる箇所と微妙にだれる箇所の落差があって。作家としか生きられない作家の業(ごう)ってこういうものかー、っていうのは良かった。あと今でいうラップバトル?になだれこむあたりもスリルがあった。あえて書き残すが、「イク」とか「アヘアヘ」って訳語使うのすごいな!当時のいわゆるグルーヴィってこういうことなのか?なかなか面白かったけど、私の中のマラマッドはマジックバレルのままでもよかったかな。
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- 感想投稿日 : 2021年3月4日
- 読了日 : 2021年3月3日
- 本棚登録日 : 2021年3月3日
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