
学部生対象の連続講義をもとにした論文集なので、ジェンダーと身体をめぐって、音楽、絵画、映画、スポーツ、歌舞伎など幅広い分野が取り上げられている。とくに「第四章 中国都市の広場舞の女性たち(南裕子)」が面白かった。国は違うけど『母なる証明』の母親のダンスシーンが思い出されて、踊るおばさんについてもうちょっと詳しく知りたくなった。
「第十章 共感と視点ーハナ・ギャズビー『ナネット』と未完の物語(川本玲子)」は本書の締めくくり(最後にまだ1章あるけど、編著者による論文ということもあり)にふさわしく考えるヒントをいろいろ投げかけられたように思う。「偶然にも私たちと同時にこの世界に生きる他者の物語は、ギャズビーが言うように、私たちの物語でもあり、私たちの物語もまた、かれらの物語だ。」という結びの言葉も至言。さっそくネトフリでハナ・ギャズビーの生の舞台を観られてよかった!
- レビュー投稿日
- 2020年8月13日
- 読了日
- 2020年8月13日
- 本棚登録日
- 2020年8月13日
『ジェンダーと身体: 解放への道のり』のレビューへのコメント
コメントをする場合は、ログインしてください。