それぞれの時代にその時代の論理に基づいた世界秩序がある。支配の論理は武力や宗教から資本へと変遷、現在はグローバル資本主義が世界秩序となり、国民国家ですらその立場が脅かされている。グローバル・システミック・リスクはますます増大しており、世界は無政府化、カオス化しつつある。その中で必要とされているのは新たな論理に基づく世界秩序であり、世界統治機構である・・・
詳しい時代考証をバックに現状分析、未来への提言が行われている。リスク回避のためには民主主義をベースとした世界統治機構が必要・・だが、世界が合意の元に新しい秩序を作り上げるには危機意識を共有して自らの目先の利益を放棄して連帯する必要があるだろう・・ 正直、相当なリスクに直面したときに理性的な判断を世界中の人々が下さない限り、彼の構想は絵に描いたもち、なのかもしれない。
今までの世界秩序はすべて何らかの力を背景に格差などの問題を不可視化してきたわけで、「新世界秩序」が真に民主的で公平なものになるために今までの世界秩序の論理では不可能だろう。「夢物語」にならないための方策としてはちょっと説得力が欠けるかな、と思いました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2018年7月13日
- 読了日 : 2018年7月13日
- 本棚登録日 : 2018年7月3日
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