電話ボックスで男が撃たれた。
しかし、四面のガラスには傷はなく――。
銃弾はどこからきて、どこへ行ったのか?
『大魔術の死体』
往来の真ん中で突然着物を捲りあげた女の真意とは?
『人形の死体』
額に切手の貼られた死体。
ダイイングメッセージなのだろうか。
果たしてその意味は?
『料金不足の死体』
等、魅力的な謎が次々と提示されるシリーズ3冊目。
安楽椅子探偵のという形式は解決のスピード感が違う。
話を“聞いただけで”解決してしまうのが安楽椅子探偵だが、そのことによってもう一つ特徴となるのが解決へのスピードだ。
勿体ぶってだらだらと引き延ばすことなく、「問題」から「解決」への流れが素晴らしく手早い。
何せ“聞いただけ”で解決しなければならないのだから。
本書は『大魔術の死体』の一作だけ、確認のために部屋から出てしまう。
解説ではここに都筑氏の目論見があったと予想しているが、今となっては分からない。
故に厳密な意味での安楽椅子探偵ではなかったが、その解決のスピード感は同様に残されていた。
殆どが会話の文だけで構成される本シリーズは非常に読みやすい。
30年も昔の作品だと「古いもの」と思いがちだが、そこに通じる価値観などは今とさほど変わらない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年5月13日
- 読了日 : 2011年5月13日
- 本棚登録日 : 2011年5月13日
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