性教育裁判: 七生養護学校事件が残したもの (岩波ブックレット NO. 765)

著者 :
  • 岩波書店 (2009年9月8日発売)
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感想 : 8
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曖昧な言葉では理解できない子どもたちのために作られた教育キットやカリキュラムを「過激な性教育」として奪われた七生養護学校の戦いのまとめ。
教員たちの「子どものため」が正しくあふれていて、だからこそ議員たちの無理解が突き刺さる。教育とはその子たちが生きていくために必要な力を身につけさせることだというのに。

調べもせずにイメージだけで、それもここの子ども達どころか教育についてすら無知なのに過激だなんだと否定できる神経が信じがたい。
こんな下らないことのために、この期間に生徒だった子ども達は身を守る術を体系的に教えてもらえなかったということに怒りを覚える。
聾学校で手話(その子たちの言葉)を排除して口話教育(自分たち=マジョリティの言葉)を強要していた時代からなにも進歩していない。

性器の名前を教えるのが過激だとかってのも理解できない。
これは養護学校でも普通校でも同じだけど、学校で教えないでどこで正しい知識を教えるんだろう。
18歳になったら自動的に頭に知識がダウンロードされるとでも思っているんだろうか。
義務教育は最低限のラインを確保するためのものなんだから、自分で学べない子が知識を得られるように設計すべきものなのに。

都は全体的に頭がおかしいけど司法は辛うじて正気を保っていて良かったね。って感想くらいしかでないな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 子ども(社会・制度)
感想投稿日 : 2010年1月22日
読了日 : 2010年1月19日
本棚登録日 : 2010年1月19日

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