クリスマスの定番物語に色付きの絵をたっぷりそえた大型本。
金原瑞人訳、ロベルト・インノチェンティ画。
見るからに「クリスマスプレゼントにどうぞ」といわんばかりの豪華つくりだけど欲しくはない。
子供が読むより大人が飾っておくほうがいいような本だ。
どこから訳したものなのか明記されていないけれど、どうも底本は抄訳の英語版のような気がする。
『少女たちの19世紀』をみて読みなおしたくなった。
子供のころ、「くるみわりにんぎょう」というタイトルの絵本が家にあったから、内容は知っていると思ってた。
何度も読むほど好きではなかったから細かい所は忘れているけれど。
が、どうやらあれはバレエを下敷きにした子供向けリライト絵本だったようだ。
ちゃんと読んでみたら記憶にあるより面白い。
フリッツはなんて嫌なガキなんだ、みたいな感想は記憶にある通りだったけど。
くるみ割り人形のために砂糖人形一家をいけにえに差しだすマリーの愛もけっこう怖い。
本筋と作中作がまじりあってひとつになる不思議の話。
外があまり素敵じゃないから夢の国に逃れるようでなんだか悲しい。
主人公一家はどう考えても金持ちだけどお母さんとお姉ちゃんが炊事をしていて、お話の中でも王妃さまが料理を作ってるのがなんだか不思議。
ドイツの階級ってどんな感じだったんだろう。
本筋より面白いドロッセルマイアーさんのお話は『ヘンゼルとグレーテル』や『スペイン王女の誕生日』を連想する。
絵はしっかりしているけれど好きじゃない。
古い欧米のクリスマスカードみたいな、ぺたっとしてリアルな絵。
マネキンのような人間のかたそうな顔が怖い。不気味の谷に入りかけてる。
そんなリアルさなのに絵の内容は真実味がなくて悪い意味で適当に感じる。
金持ちの家らしくないペラいテーブルクロスや、独立戦争してる兵士たちの人形に違和感を覚える。
話は思ってたほど悪くなかったから別の本で読みなおしたい。
- 感想投稿日 : 2014年12月8日
- 読了日 : 2014年12月7日
- 本棚登録日 : 2014年12月8日
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