他人を見下す若者たち (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2006年2月17日発売)
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本棚登録 : 1978
感想 : 293
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経験に裏打ちされていない有能感である「仮想的有能感」をもつ人は
自尊心も持った全能型と、自尊心を持たない仮想型の2タイプに分けられる。
近年の若者は、この自尊心も経験にも裏打ちされない有能感を持ち
他者を見下すことで、心の平穏を保っている。
この仮想的有能感のために、人々(というか若者)は
感情と動機づけのあり方に影響を受け、個人的なことでは怒りを感じやすくなるが
集団としての怒りや喜びに鈍感になり、努力して失敗することを恐れ
頑張ろうとしなくなったりするという。
当事者の「ジコチュー」の若者だからなのかもしれないけれど
どうしても納得できない記述がずらずら並んでいた。
学生運動に身を投じていた過去の若者は、集団のために怒れていたと
褒め称えるけれど、果たしてそれは本当に集団のためだったのか。
日本の未来を憂えていた上での考え抜かれた行動だったのか。
とか、挙げられる例にことごとくこの調子で突っ込みを入れたくなる。
そもそも万能型の仮想的有能感を中年世代は持つというのに
それを不問にして、若者だけが問題があるという論調にもっていくのは
ご都合主義というか、どうも納得がいかない。
引用されていたデータも、真理の人の割に統計的に有意差があるのか
検討されていなかったし……。
パラパラ読むにはいいけれど、真に受けるにはくるしいかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人間・社会・宗教・教育
感想投稿日 : 2012年6月7日
読了日 : 2012年6月7日
本棚登録日 : 2012年6月7日

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