コララインとボタンの魔女 (角川文庫 ケ 7-4)

  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年1月23日発売)
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今いる場所の重要性
映画のコマーシャルで、ボタンの目をした人間が不気味だったことを覚えている。
表情がなく、猫なで声でコラライン、いらっしゃい......と。

古い屋敷には隠された扉が付き物だ。
開けてもそこには何もなく、扉だけ。
実はそんな場所こそ異界への入り口。
定番とはいえ、心躍る。

両親にあまり構ってもらえないコラライン。
迷い込んだ異界でボタンの目をしたもう一人の父と母に出会う。
どう見たっておかしいはずなのに、それをそうかもしれない、と思ってしまうところに不気味さを感じる。
もう一人の親は優しい。
望むものは何でも与えてくれようとする。
けれども最後の最後でコララインは気付くのだ、望みのものが全部手に入ることなんて誰も望んではいない、と。
そして、「普通」の生活の愛おしいことに。

重要なのがお守りの小さな石、しゃべる猫。
この猫がコララインを気まぐれに守り、深い言葉を口にする。
ここはここだ、とは何とも単純にして哲学的な答えだ。

物語の対象としては10代前半までととれる。
それ以降が読むには、物足りなさを感じるかもしれない。
ただ、親子で読むにはちょうど良い。
映画は見ていないが、小さい子供がいるならばそちらを見た方が世界観が伝わっていいかもしれない。

今いる場所の大切さ。
それが伝われば十分だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年9月2日
読了日 : 2013年9月2日
本棚登録日 : 2013年9月2日

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