眠れなくなる 夢十夜 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2016年12月23日発売)
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感想 : 30
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言わずと知れた夏目漱石の名作『夢十夜』を下敷きに、十名の作家たちが一篇ずつ「こんな夢を見た」と語り出す。
それが本当に夢の中の出来事なのか、それとも現での出来事なのか、それは誰にもわからない。

『夢一夜』では本家の第一夜と第三夜をミックスしたような物語になっている。
美しく静謐な、しかし不気味な夢の中。

『長い長い石段の先』は少年時代の恐ろしい体験を思い起こさせる。
迷ってしまった道の先。
どこか知らない場所。
ジブリの『千と千尋の神隠し』にも登場する、現世と異界との境。
どちらも物語だとしても、実体験として、記憶にある人もいるのではないか。
祖父母の家までの帰り、乗り過ごしてしまったバスの先。
永遠にも思える帰り道、幼い弟の手を握りしめながら不安と恐怖と戦う夏の日。
あれは、現実、のはずだ。

『輝子の恋』
本書の中では唯一の明るい話。
悪夢だらけの中、今宵の夢さえあれば、救われよう。
いや、悪夢の方がまだましとも思える現の夜、今宵の言葉があれば、慰めにもなろう。

人生は壮大な夢という。
そうであるならこんな終わり方なら、全て良し。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2017年7月15日
読了日 : 2017年5月9日
本棚登録日 : 2017年7月15日

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