ペスト (新潮文庫)

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本棚登録 : 1864
レビュー : 164
著者 :
制作 : 宮崎 嶺雄 
mendakoさん 海外文学   読み終わった 

カミュの代表作のうちの一冊。
原題:La Peste
NHK、Eテレで放送中の「100分de名著」で取り上げられていた。

災厄の始まりは小さなものだった。
ネズミの死骸、それは一般の人は気にも留めない小さな予兆。
しかし、市内全土に広がっていくのに、多くの時間は要らなかった。
恐怖と、悪と、戦うこととは一体どういったものか。
理不尽なことと向き合うこととは。
物語は淡々と綴られていく。
どんなに悲惨な出来事であっても、どんなに不条理な出来事であっても、生きている我々は歩みを止めてはならない。
ペストと、戦い、抗うのだ。
ペスト=悪があることを知り、それを思い出し、友情を知り、思い出し、愛を知り、思い出し、それが唯一の、我々がペストに勝ちうる方法なのだ。
「知識と記憶」(431頁)だけが。

なぜならペストは死ぬことも、消滅することもないからだ。
「人間に不幸と教訓をもたらすために」(458頁)それはあるのであり、たとえ一度は恐怖から逃れられたとしても「この嘉悦が常に脅かされている」(同)ことを忘れてはならない。

我々は、理不尽な恐怖に直面した時、何をなすべきか?
いやそもそも、それが来る前に何ができるのか?
私たちにできることはそう多くはない。
過去の災厄を、今まさに来んとするそれを、見なかったこと、なかったことにして忘却の彼方に追いやるのではなく、正面から対峙し、ありのままを認めなければ、後手に回った対策は何の意味もなさない。
そしてそのことだけが、ペストに立ち向かう方法なのだ。

レビュー投稿日
2018年9月30日
読了日
2018年9月16日
本棚登録日
2018年9月30日
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