ナサベアを抱きしめた少女、ノヴァ。
彼女は姉のブリジットを待っている。
ブリジットだけは、ノヴァの言いたいことをわかってくれた。
他の人みたいに「重い知恵遅れ」なんて言わなかった。
約束したんだから、チャレンジャーが打ち上がるのを一緒に見ようって。
ノヴァは言葉がうまく出ない。ノヴァは文字が書けない。ノヴァは感覚過敏。
だから、特別支援学級で過ごす。
本当は宇宙のことならなんでも知っているけれど、周りからは「キーッ」という声にしか聞こえない。
私答えられる!と思ってアピールしても、「興奮しているのね。でも静かに」だなんて!
この物語はチャレンジャーの物語。
自閉症は治らない。
グラデーションのようにできること、できないことがある。
周りは健常者と比べるから、この子は何にもできないね、となる。
でも、心の中では彼女たちは伝えたいことがたくさんたくさんあるはずだ。
私たちには、わからないことばで。
読み進むほどに胸がチクチクいたむ。私は、あの子達を理解できているだろうか?
結末はとてつもない悲しみと、それを補おうとする愛の存在を示唆して終わる。
障害児との暮らしは楽ではない。
綺麗事を言われると腹が立つことだってある。
それでも、私たちはわからないから分かろうと努力する。
もしその思いが今は届いてはいないとしても、いつかは、きっと。
私たちはチャレンジャーであって「チャレンジャー号」じゃない。
ともに歩もう、この青い惑星の大地を。
ともに目指そう、果てしない夢を。
- 感想投稿日 : 2021年3月14日
- 読了日 : 2021年3月13日
- 本棚登録日 : 2021年3月14日
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