理想と現実との乖離に諦観を抱き,懶惰な生活を送りながら,違う星との交信ごっこという,夜ごとのわずかな非日常を楽しむ主人公のもとに,突如交信相手の異星人が現れ,そこから日常が異質なものへと変化していく.あとがきに「自身の消極的な予想を大きく改めざるを得ないような出来事に遭遇すれば,世界に対する消極的な見方を改められるかもしれない」といった趣旨のことが書いてあって,実際物語としても,ファンタジックな出来事の連続を通して,主人公が理想に対して自身の果たす役割を再認識していく.主人公が抱く,取り残される感覚に対する言及が良かった.トランシーバーの声の真相など,含みを持たせた終わり方で続きを示唆してはいるが,続くとしてどう続けるのかは気になるところ.
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ライトノベル
- 感想投稿日 : 2018年6月10日
- 読了日 : 2018年6月10日
- 本棚登録日 : 2018年2月24日
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