徳川幕府の三代将軍家光が、生涯でただ一人寵愛した側室お万の方の生涯を描く。
幼少より仏への帰依の心深かった彼女は、伊勢の由緒ある尼寺慶光院の新院主となり、その跡目御礼のため江戸城に上がった。しかし、この家光との対面が彼女の運命を大きく変えることに・・・。
稀有な人生をたどったお万の方の、破戒への罪の意識や家光への愛情・・・、一言では言い表せない様々な心の機微が、作者なりの解釈で非常に細やかに描かれている。歴史小説の面白さはやはり作者によって解釈が分かれるところだと思う。主人公に限らず、すべての登場人物が、描く人によって善人にも悪人にもなる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
吉屋信子
- 感想投稿日 : 2012年8月14日
- 読了日 : 2005年6月29日
- 本棚登録日 : 2012年3月20日
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