「何をお探し?」
区民なら誰でも本を借りられる小学校に併設されたコミュニティハウスの図書室。そこには司書を目指すために実務経験を積んでいる『森永のぞみ』さんと湯婆婆……、ではなく司書の『小町さゆり』さんがレファレンスコーナーに控える。
本作は5人の性別も年齢も境遇も異なる人が、湯婆婆……、ではなく司書の『小町さゆり』さんの選書と『付録』によって、それまでの日常から一歩だけ歩みを進め、世界と自分の見方を変えていく。
青山美智子さんの作品は伏線ではないが、別の章に別の登場人物が見え隠れするのが特徴的であり、本作も様々な場面で人々が交錯する。いずれも心穏やかな気持ちにさせる作品でした。
と言った所で少し脱線です。
文庫本の帯にデカデカと『本屋大賞 第2位!』と飾られている本作ですが、皆さんは『2位』と『ノミネート作』と、どちらの表現が印象良いと感じますか?
本作を手に取る際にふと感じたのですが、作家さんから見て『2位』と順位付けられた自分の作品に「1位を獲れなくて、ごめんね。」とか「悔しい」といった気持ちを抱くこともあるのでは?と思うと、『ノミネート作』と書かれる方が、まだ気持ち穏やかにいられたのでは?と思いました。
素晴らしい作品であることは変わりないのに誰かの物差しで測られ、格付けされるという現実に、ちょっとだけ生き辛さを感じますよね。そんな気持ちでいる私に、湯婆婆……『小町さゆり』さんはどんな『付録』と本を選書してくれるのだろう。
読書状況:読み終わった
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レビュー済み
- 感想投稿日 : 2023年3月20日
- 読了日 : 2023年3月20日
- 本棚登録日 : 2023年2月4日
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