経験バイアス ときに経験は思考決定の敵となる

  • 白揚社 (2024年8月19日発売)
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【生き方】経験バイアス -ときに経験は意思決定の敵となる / 20250201 / エムレ・ソイヤー、ロビン・M・ホガース / <9/1099>/<355/171324>
◆きっかけ
日経書評
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD241EJ0U4A920C2000000/

◆感想
・経験豊富のというのは、経験値の蓄積に裏付けされた最上級の誉め言葉だと思っているが、その一方でそこに依拠しすぎている考え方は危険ではないかと薄々感じていたところに、見事答えを用意してくれている本。
・ただ、その主張の割には少々分厚いのが難。。。。
・著者の主張はシンプル、「経験を無視すべきだと言ってるわけではない。しかし自分の経験をひとまず疑ってかかる健全な猜疑心を養えば、経験をあてにして良い場合とそうでない場合をきちんと区別できるようになる。」に尽きるだろう。そのためにも、以下2つの問いは心掛けたい。
ー自分の経験から抜け落ちている重要な情報で、今起きていることを完全に理解するために明らかにすべき事はないか?
ー自分の経験に入り込んでいる意味のない瑣末な情報で、今起きている事から注意がそれるのを避けるために無視すべき事は何か?

◆引用
★経験に頼りすぎると、経験が授けてくれる知識のせいで、本当は思慮不足なのに知恵者になったような気になってしまうことがある。経験が正しい答えを与えずに、むしろ誤った答えを補強してしまう恐れもある。
・経験から何か学んだとしても、その教訓が物事の実態を正しく映し出していると言う保証は無い。
★学習になじまない環境に置かれているときに、ぜひとも問うべきは次の2点
ー自分の経験から抜け落ちている重要な情報で、今起きていることを完全に理解するために明らかにすべき事はないか?
ー自分の経験に入り込んでいる意味のない瑣末な情報で、今起きている事から注意がそれるのを避けるために無視すべき事は何か?
★経験を無視すべきだと言ってるわけではない。しかし自分の経験をひとまず疑ってかかる健全な猜疑心を養えば、経験をあてにして良い場合とそうでない場合をきちんと区別できるようになる。
・経験はたちまちストーリー化される。人間は大抵出来事の順序から原因と結果の関係を読み取る。人間は読み取ったストーリーを土台にして、すぐさま次に何が起こるかを予想する。
・経験が想像力をそいでしまうこともある
・見落としているのは何か?無視すべきなのは何か?
ー無意味な過去の経験、創造的プロセスの見落とし、他者の経験の見落とし、不適切な注意の向け方、フロー体験の欠如、自律性の欠如。
ー外部性を見落とす。ごまかし行為を見落とす、勘違いを生む快適さ、配慮の欠如、透明性の欠如。
ー正確性、因果関係、時間経過、複雑さ、トレードオフ、選択バイアス。
・幸福を維持し、順応や習慣化によって幸福度が低下するのを避ける。1つの方法は経験を重ねても、すぐには効果が薄れない事柄(=経験)に時間とエネルギーを投じること。NG:高級車購入
・利用可能性バイアス:物事の結果ばかりを経験してるのではないか?限定された結果ばかりを経験しているのではないか?個人的に経験したことばかりに頼っていないか?
・不適切な拠り所、経験から単純な因果ストーリーを読み取り、それらをもとに意思決定を下そうとしていないか?心惹かれる、快適さ、情動体験、選択肢、ゲーム的要素にのめり込んでいないか?問題の一部ばかり注意を向けていないか?
・誤った革新、学習環境についての問い、経験内容にフィルターがかけられたり、経験内容が歪められたりしていないか?どれくらい複雑で変わりやすい環境か?これからの世界はこれまで経験してきた世界と同じか?きちんとした知識獲得法に比べて、経験がどれぐらい学びや直感をもたらしているか?見えていること、見落としていることを、無視すべき事は何か?
・意思決定を行う者についての問い:ある教訓の正しさをどれぐらい確信しているか?その革新はどれぐらい個人的経験に基づいているか?その革新はどの程度事故政治的か?統計リテラシーのレベルはどうか?経験に基づく革新の大切さを検証した事はあるか?

◆今後
・経験をひとまず疑ってかかる猜疑心。
・経験から抜け落ちている重要な情報はないか?経験から敢えて無視すべき事は何か?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生き方
感想投稿日 : 2024年11月24日
読了日 : 2025年2月1日
本棚登録日 : 2024年11月24日

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