『独房』もっと暗い、重苦しい話だと思っていた。明るく朗らかで、自分の信念に負けずに生きる強さを感じる。多喜二はきっと男にも女にもモテたろう。
『党生活者』社会の戦争への傾倒や、生活の貧困度が増していく具合と共に、佐々木の生きることへの偏りと窮屈さが顕著になってくる。貧困と労働者への戦いと言い乍ら、笠原への経済的・物質的依存が高まっている。折しも、今日の折々の言葉は金子光春の「自身の業の重み」についての話だった。労働組合やストライキの行使など、彼らの社会闘争の上に、今の生活があることも事実なのだ。
それにしたって、サービス残業とか、長時間労働とか、非正規雇用の突然の解雇とか、経済発展の為に国家事業(本作では戦争、現代では五輪)をやるから寄付金を出せとか、そうしたものへの反対意見の取り締まりとか、90年前に書かれた小説と現在と何が違うのか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2018年2月23日
- 読了日 : 2018年2月22日
- 本棚登録日 : 2018年2月22日
みんなの感想をみる