18世紀の沖縄。清国と薩摩の間で揺れ動く小国を、大国に並ぶ国にしたいと考える清国帰りのエリート役人・蔡温は、「太陽しろ」として生きる王の影となる「月しろ」が必要だと考える。
那覇の町で最下層の民として地を這うように生きていた了泉は、天性の華から、楽童子として見出され、月しろとなることを目指す。
不屈の精神を持った了泉の生涯を通して、国として新たな形を作り始めた琉球と、そこに息づく芸能を描いた物語だ。
池上永一らしいホラーで悪趣味なキャラクターや、歴史上の人物なのにコミカルに描かれたキャラクターが登場し、極彩色の世界が繰り広げられる。
了泉は主人公でありながらも悪どい部分や欲深い部分もあり、単純に応援し共感するには汚れにまみれている。だからこそ、琉球という国の有象無象な世界が引き立ち、独特の作風を生み出していておもしろい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
好奇心が満たされる
- 感想投稿日 : 2013年11月8日
- 読了日 : 2013年11月8日
- 本棚登録日 : 2013年11月8日
みんなの感想をみる