大人は泣かないと思っていた

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本棚登録 : 679
レビュー : 67
著者 :
ちゃいろいさん 元気になりたいときに   読み終わった 

市町村合併で名称だけは「市」となっても、その外れの限界集落のような場所にある古びた家で、酒ばかり飲んでいる父親とふたりで暮らしている翼。
地元の農協に就職し、日々をそつなく淡々と過ごしている彼をとりまく人々の物語だ。

リレー形式で各編ごとに語り手の視点が移り変わって一巡する連作短編集の形になっていて、閉塞した田舎町を倦んだり愛おしんだりして暮らす人々の生活は、大きな波乱はないけれど、丁寧に各々の気持ちの動きが描かれていて、読んでいてしっとりと面白い。

ちょっとイヤなヤツそうなキャラクターも別の視点から見ると案外いいところもあったり、総じて登場するキャラクターがみんな憎めず、かつ魅力的だった。
変人のような描かれ方は誰一人していないのに個性が際立っていて、それは各々が持つ矜持というか、芯となる部分がしっかりと語られているからだろうなと思う。

一年後、一ヵ月後、下手したら明日にだって何が起こるかわからない。世界情勢も人の気持ちも移ろっていく。でもだからこそ、毎日を大切に生きていけたらいいよな、と思える物語だった。

レビュー投稿日
2018年11月30日
読了日
2018年11月30日
本棚登録日
2018年11月30日
6
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