プリティが多すぎる

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年1月24日発売)
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願って老舗の大手出版社『千石社』に入社し2年。『週間千石』の編集部から、新見が異動した先は、なんと<女の子はPが好き>がキャッチフレーズのローティーン向けファッション雑誌『ピピン』の編集部だった。
まったく良さがわからないキラキラでゴテゴテで安っぽいアイテムや誌面に鼻じろみ、仕事だからとソツなくこなそうとはするものの、どうしても雑誌作りに意欲がもてない新見が、ピピモと呼ばれる十代前半のモデルの子達や、「かわいい」に精根尽き果てるまで取り組んでいる編集部員と関わっていく上で少しずつ仕事に対しての捉えかたが変わっていくお仕事小説だ。
枝葉をとってしまえば王道パターンの話なんだけれど、テーマに据えたのがローティーン向け雑誌、というのが面白い。これがまたハイティーンだったら面白さが半減してしまっただろうな、と思うと、目の付け所が違うなぁと思う。
新見が遭遇するトラブルもどこか出版業界、というかファッション雑誌業界の裏話めいたようなナルホドと思わされるものが多く、楽しんだ。
読んでいて、小学生の頃同じクラスだった、芸能活動をしていた女の子を思い出した。確かに可愛い顔をした子だったけど、結局子役としては芽が出ず、その後活躍したという話も聞かない。どこかクラスの中で浮いてしまっている子だったけれど、あのとき、彼女はどんな気持ちで活動をしていたんだろう、とふと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 元気になりたいときに
感想投稿日 : 2012年3月14日
読了日 : 2012年3月14日
本棚登録日 : 2012年3月14日

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