船でこの土地にやってきて、過去を全て捨てて新しい名前で生活を始める人々の町。そこにやってきた初老の男性シモンと、母親を探す5歳の少年ダビード。
欲望が薄められた善意の人々の暮らすこの町に、自己主張の強い2人はフィットしない。やがてダビードの母親となる女性イネスもワガママで気が強く、常識的な世界から浮いた3人は常に「人生に足りない何か」を探している…。
子供のといかける「なぜ?」「どうして?」に始まり、同僚との会話や自問自答など、哲学的な問答も多くて面倒臭い話なのになぜかページを繰る手が止まらず一気に読んだ。なんだろう、この面白さ!
少年がイエス、シモンがヨセフ、イネスがマリア、そして最後に登場するファンがヨハネだとして、これはイエスをとりまく聖書の話なのか、それともただのパロディか?
作者の意図はいまいちわからないけれどただただ面白い。上手に騙されたみたいな、不思議な読書体験。翻訳もすばらしく読みやすい。
続刊があるようなのですごく楽しみ!
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
翻訳小説
- 感想投稿日 : 2018年8月15日
- 読了日 : 2018年8月15日
- 本棚登録日 : 2018年8月14日
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