営繕かるかや怪異譚 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2018年6月15日発売)
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本棚登録 : 2932
感想 : 271
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友達から「十二国記の新刊、読んだ!? まだ!? おもしろかったよ!!」と言われて、うぉーと思いながら、読み始めたのはこちらの本。
あまのじゃくなわけじゃナーイ!
ブクログに感想を記録していない本は詳細をすっかり忘れ去っていることがあまりに多いので、いきなり新刊に手をつけていいものかどうか迷い中なのである。
あのシリーズ、設定が複雑で、復習なしで私の頭がついていけるかしらと心配で。しかしどこまで遡るべきかもわからず、ためらっているところ。

というわけで、まだ読んでいないこれを図書館で見つけて嬉々として借りてきたわけですが・・・十二国記に気を取られていたお陰で、この著者がホラー作家だということをすっかり失念しておった。油断した。

自分でもあきれるくらい怖がりなので、最初の作品で早くも震え上がった。
不意打ちかよーと涙目で読んだ。(怪異譚というタイトルで普通気づくはずなのだが十二国記に完全に気を取られており・・・)

しかし、読み終わってみるとそれほど怖くない。
むしろ心がほっこり。
実に新しいタイプのホラーだと思った。
発想に感動した。
霊やもののけっていうと、これまでは「取り除く」ばかりだったが、営繕かるかやの尾端さんは、彼らの世界と私たちの世界の交錯した部分をちょっとした大工仕事でずらし、交錯しないように改変する、という方法で問題解決していく。
なるほどね。向こうの世界はそのままそっとしておくわけか・・・と感心。
しかも、その改変を行う人が除霊屋とかミディアムとかエクソシストとかじゃなくて、「出入りの工務店」ってあたりが新鮮すぎるよ。
彼の素顔は全く見えないどころか、最後の最後まで登場しないので、こっちの想像力がかきたてられて、たまりません。
まさか、「工務店」って言葉にときめく日が来ようとは。(笑)

その弐もあるようなので、嬉しい限りです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(日本)
感想投稿日 : 2020年1月9日
読了日 : 2020年1月9日
本棚登録日 : 2020年1月9日

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