「国境なき医師団」を見に行く

  • 講談社 (2017年11月30日発売)
3.75
  • (29)
  • (54)
  • (34)
  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 540
感想 : 75
2

自分の人生を振り返ってみたとき、どう考えても、親や友達や学校の先生や神様やその他いろんな人や環境から自分がもらってきたものの量は、自分が何かの対価として支払ったものの量よりも圧倒的に多いよなぁ、っていうか、いつも与えてもらってばっかりだったよなぁ、と思う今日このごろ。
数年前から、その罪悪感を払しょくするために、つまり、言い換えれば、感謝の気持ちを表すために、毎年年末に、「世界の子供へのお年玉」という名目で、夫婦ふたりそれぞれ、お年玉くらいの金額をカード払いで、その時目についた団体にものすごーく適当に寄付しています。
セーブ・ザ・チルドレンとかプランジャパンとか国連WFPとか、送り先を選ぶ理由は特になくて、ただ「子供」とか「教育」とか付くようなプロジェクトにランダムに寄付してたんですが、ここ数年、寄付時に入力する項目が比較的少なくて楽、というそんな理由から(笑)「国境なき医師団」への寄付が続いています。
で、お金を送る以上、どんな活動をしているかくらいは知っておきたいなぁ~、と思うのですが、寄付後に送られてくるパンフなどを見ていると、なぜか自分が偽善者めいた気分になるというか、ちょっと辛くなる。あんなハシタ金で、このパンフを満足気に見る私っていかがなものか、などと考えてしまう。

本屋でこの本を見かけ、いとうせいこうさんのレポートなら辛くならないかも、と思って読んでみました。活動じたいは本当に興味があるので。
いとうさんは「ボタニカル・ライフ」以来、すっかり信頼している人ですし。

非常に分かりやすかったです。興味深かった。
世界のニュースを見ていても、近年、特に存在感を増している人道支援団体って感じ(国連とかは逆に力を失っている印象)でしたが、やはり目的が明確なだけに資金も集まりやすいのか、資金力はけっこうある団体なんだな、と思った。(もちろん、いくらあっても足りないだろうけど)
働いている人たちは、イメージどおりで、特に意外性はなかったな。
あと、いとうさんが繰り返し書いている「偽善」という概念に対する考えには非常に共感した。

ただ、最初のハイチ編は「ボタニカル・ライフ」の時の雰囲気を残してユーモアたっぷりだったけど、だんだん、ちょっと、なんだか、うーん、笑いを取る余裕がなくなって尻すぼみ、という印象だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2018年11月21日
読了日 : 2018年11月21日
本棚登録日 : 2018年11月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする