社会派の作品です。
石川一登、貴代美夫妻の家は建築家の一登、校正ライターの貴代美、高校一年生の規士(ただし)中学三年生の雅の四人家族です。
夏休みの終わったある日、高校生の男の子がリンチ殺人のあげく車のトランクに入れられたのが見つかります。
犯人たちは車を乗り捨ててそのまま逃走しています。
そしてその晩、規士が家に帰ってきませんでした。
一登と貴代美は規士が事件に関与しているのかと思い始めます。
その後警察の調べで、行方不明になっている男子生徒は三人で、逃げているのは二人であるということがはっきりします。
もう一人、リンチ殺人の被害者がいるのです。
貴代美は「どっちかなんて話をするなら、犯人のほうがまし」「生きてたら、どうとでもやり直せるの。でも人間、死んだらそれで終わりなのよ」といいますが、一登は「規士は被害者である」と信じています。
雅は自分の高校受験、その他の将来を見据えて「犯人じゃないほうがいい」と言います。
そして一登は仕事先から付き合いを断られ更なる事の重大さに気づきます。
でも一登は規士の家に残していったナイフを見つけていいます。
「警察が言わなくたってわかる!規士はやってないんだ」
結末が早く知りたくて、ページをめくる手が止まらなくなる話でした。
犯人でもいいから生きていて欲しいと願う母親と、絶対に犯人であるはずがないという父親。
残念ながら、確かに、この事件に平和な真相はありませんでした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2021年8月25日
- 読了日 : 2021年8月25日
- 本棚登録日 : 2021年8月25日
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