それは令和のことでした、 (単行本文芸フィクション)

  • 祥伝社 (2024年4月11日発売)
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感想 : 89
4

短編集です。
連作ではありません。

なんで、そういうところでそういう風に、おとすのだという極めつけのオチがある話が多かったです。
嫌~なオチが多めで、前向きなオチは少なかったように思います。
まず、最初の1話目が救われない話で「これってイヤミス?」と思いましたが、全部が全部イヤミスではなかったです。
タイトルが『それは令和のことでした』ですが、令和ってこんな時代なのでしょうか。




「彼の名は」
船橋太郎という名の少年が、母親のエゴによりいじめに逢う話。この話のオチは凄かったです。

「有情無情」
一度善意でした親切から小児性愛者とみなされ、社会から捨てられた高齢男性の悲劇。

「わたしが告発する!」
引きこもりの30歳の姉を殺してしまった弟は、婚約者と共謀してなんとか姉を生きているようにみせかけますが。まさかの〇〇の告発が。

「君は認知障害で」
認知症の高齢女性から10万円をキャッシュで盗んだゲーム廃人の大学生。10万円を盗んだことは確かですが、殺人はしていないのに高齢女性を刺し殺したことにされてしまいます。このトリックは面白かったし、一番明るい話かと思いました。

「死にゆく母にできること」
今は高齢でがん患者として入院している母に支配されてきた娘。かいがいしく母の看病をするも自宅に帰ると自分の子どもをストレスから虐待してしまう。そんな彼女が最後にとった行動は。

「無実が二人を分かつまで」
比良依吹24歳と三田一は上野公園の炊き出しで出会い、浅沼商会という家族経営の日雇いの肉体労働をする会社に勤めることになります。しかし、三田は浅沼商会の不正金を見つけ殺されそうになります。三田を殺そうとしたのは誰か。三田は無実なのか。途中まで三田の無実を信じて期待しますが、オチがまた哀しかったです。

「彼女の煙が晴れるとき」
橘駒音は将棋道場に通う真剣師です。トラックドライバーの憲士郎と連れ子で持病を患う高校生の陽菜と暮らしています。しかし陽菜の看病が大変で喫煙依存症になってしまいます。最後に駒音のとある重大な秘密が明らかになります。

「花火大会」
麻美、こずえ、綾、花子と花火大会の花火を見ているわたし。超短編ですがこれもオチがあります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2024年5月4日
読了日 : 2024年5月4日
本棚登録日 : 2024年3月31日

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