極地探検家の列伝とのことだが、伝記というにはお粗末な内容である。
25人を1冊で紹介するので、1人に割く紙幅が少ないのは分かるが、人物やその業績にスポットがあたっておらず、全体的に消化不良で、書き散らしといったていである。アムンゼンの章などは、ほぼ航空機による探検の歴史といった内容で、アムンゼンの伝記ではなかった。
また、スコット隊から4人(スコット、水兵エバンズ、士官エバンズ、ボワーズ)も紹介されていることから分かるように、25人の選定基準は隊の業績や探検の意義などではなく、なんとなくの基準によるものと思われる。
25人の探検が時系列で並んでいるわけでもないし、載っている地図も参考にならないし、構成も文章も下手で非常に読みにくい。「〇〇は落胆した」「〇〇のような気持ちがした」「〇〇が回想された」と登場人物の気持ちになりきって書かれた記述も多数あるが、3人称ノンフィクションとして不適切だと思う。隊員の手記等に残されたものの引用・要約なのか、筆者が臨場感を演出するために創作したものなのか読者には分からない。
極地探検の概要や探検隊の歴史が分かる本は他にいくらでもあると思うので、これをまた読むことはないと思う。筆者の訳書『世界最悪の旅』も非常に分かりにくかったが、本書を読んで、訳者のせいな気がした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2023年8月12日
- 読了日 : 2023年8月12日
- 本棚登録日 : 2023年8月6日
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