本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)

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本棚登録 : 4139
レビュー : 321
著者 :
美希さん 日本・エンタメ   読み終わった 

本所深川に噂される七不思議をベースに、人間模様が描かれている短編集。
ハッピーエンドでもなければ後味の悪さもない。主人公だけが報われるということもない。なのに不思議と温かい気持ちになれた。
なかなか個人の努力では変えられない大きな物語をそれぞれに抱えている。実直に頑張り続けたって冷や水を浴びせられるようなこともしばしば。この短編集に出てくる主人公たちは、そんな生活の中でも人を思いやる気持ちを見つけて、決して「自分だけが苦労していて自分だけが不幸だ」という道には入り込まない。努力している、十分に勤めていると思い込み、自分より恵まれた環境にいる人間にたいしての嫉妬心を見つけてしまったり、自分の心なさに気付いたりもする。
「消えずの行灯」という短編はこの短編集のうまみが全部詰まったような作品。
私が読んでひときわ心に残ったのは「片葉の芦」「馬鹿囃子」「落葉なしの椎」。「落葉なしの椎」は結局なんて書いてあるのかを書かなかったところがなんとも粋だと思います。

レビュー投稿日
2014年1月9日
読了日
2014年1月9日
本棚登録日
2014年1月9日
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