さようなら窓 (講談社文庫)

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本棚登録 : 281
レビュー : 44
著者 :
みゆき2525さん 小説   読み終わった 

すごく良かった。西加奈子さんの解説にあるように、東直子さんの本は、人間の危うさを描いている気がする。それを彼女は「こわさ」と言っている。
この本の主人公のきいちゃんを観ていると、昔の自分を見ているようで、自分でもよくわからない断崖絶壁をきいちゃんがフラフラと渡り歩いている様は、ハラハラした。
きいちゃんは、ゆうちゃんと出会って、支えてもらって、大切にされて、少しずつ足りなかった何かを取り戻していくようだった。
でも、それでも、それが心から漏れていくスピードの方がずっと早くて、きいちゃんはいつも何かに飢えている。それは愛情だったり、死だったり、孤独だったり、いろんな形で、ゆうちゃんの物語に溢れているのだ。
深い愛情に支えられて、きいちゃんは真っ暗な闇の中で、立ち直りたいと願うけど、結局最後の最後に立つことが出来たのは、彼女自身の強さゆえだった。そうしなきゃいけない、という義務感と、そうすれば何かが変わるかもしれないと思える希望が、きいちゃんを奮い立たせる。
それをそっと後ろで見守って、ゆうちゃんも一つ決心するのだ。
本当に昔の私を見ているようだった。この世に万ある本の中で、昔の自分にそっくりな主人公が出てくる本なんて、なかなかない。これもまた巡り合わせなのかもしれないなぁと思った。
きいちゃんほどの修羅場は、私にはなかったけど、それでも、個人的には沢山辛いことがあった。私は彼と乗り越えることを選んだし、それを後悔していない。
きいちゃんには、まだまだこれから辛いことがいっぱいあるだろう。でも、それ以上に素晴らしいことも沢山あるだろう。一つ乗り越えるたびに、彼女を褒めてあげたいと思う。過去の私が、今の私を少しだけ褒めてやりたいのと同じように。

レビュー投稿日
2014年1月20日
読了日
2014年1月20日
本棚登録日
2014年1月14日
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